前回のコラムで「園芸療法」について軽く触れましたが、実際の例をあげて、ご紹介しましょう。兵庫県尼崎市の「関西労災病院」が、ホスピタルパークに園芸療法を実現しています。
※関西労災病院 ホームページ
関西労災病院のホスピタルパークは、2004年春にオープンしました。園芸療法に基づいて患者さんにリハビリを行なう事ができるよう設備を整えています。もちろん病院の患者さんだけでなく、一般の人々にも開放されています。すべての人に「安らぎ」を与える庭空間が計画され、実現されている、実によく出来た庭園です。このような造園を、専門的にはランドスケープといい、直訳すると風景・景観・造景などという意味になります。
では、この庭園のいくつかのポイントを紹介しましょう。
まず、遠近法を用いたランドスケープです。円柱を建て、見える範囲を狭めて先の正面に目線を集中させる方法で、奥行きが演出されています。もう一方からの見え方は、円柱の向こうの建物を象徴させるよう、芝生にデッキラインを通して印象的に創られています。
2つの見通しがとても良く計算されていますね。この手法を一戸建ての住まいに応用させると、庭がより広くなり、住宅のシルエットが生きてきますね。 この庭園には、歩く・休む・観ることに対して、不自然さ、不便さがありません。庭は奇をてらうことなく、機能を第一にすれば自ずからデザインはシンプルとなり、観る人にとって「安らぎ」を感じる、安定した空間になります。
ではこのつづきは次回に。