庭の考え方の続編です。
前回は平面のラフプラン、立面プランの検討をしました。残りの2工程と全体の考察をします。
まず、断面でのチェックです。
安定感・一体感が表現されているか、断面図でチェックすることが肝要です。
【A】
石組み・橋板・縁台の連続性と、施工時の納まりの確認。
【B】
庭を1つにするための「縁台」は敷地レベルに近づけ、その縁台を部屋とつなぐ「ぬれ縁」はできるだけ部屋レベルに合わせます。
※縁台、濡れ縁の2つの高さを基準にして橋板・盛土の高さを仮決めし、さらに見る位置からも確認して、最終決定します。
【C】
目隠しフェンスの高さの確認。
さて、上のABCに共通して、最後に植栽のチェックです。高木の一本がそこに必要か? 高さは? 樹種は? 密度は? また、その足元に植える地被植物、下草は...と、平面とともにチェックして、見る位置(室内、縁台など)からの確認をします。
庭のデザインをする私が、想像の世界の庭を歩き回ります。ただ歩くだけでなく、春にはどんな景色か、冬には、、、と、施主のご希望にそって生活シーンを思い浮かべて歩くのです。イメージの具体化をするためには、断面図は欠かせないものなのです。
さて、次はスケッチでの検討です。
空間把握とイメージ展開の為の手段として、部分スケッチは欠かせません。スケッチすることで「何をどうすることがベストなのか」が見えて来ます。
ここでは、縁台・橋板と、石組まわりのイメージです。
水を流さない場合も、流れているかのような景色が必要です。
オブジェの見せ方を考える為のスケッチです。オブジェは、この庭の点景物として、非常に重要なポジションです。さりげなく、植栽とともに存在しています。
「和室」から「縁台」から「浸る場」から。どの位置からもオブジェを見る事ができて、見る位置によって見え方が変わります。「和室」からはあまり目立たせず庭風景に溶け込ませ、「浸る庭」からはオブジェ全体を見せる。こういった変化が、空間の奥行をより深く見せます。(その為に余分なものは、目隠しフェンスなどで見えない工夫をします。)
つづきは、次回に。
1942年生まれ
「エクステリア」が周知される以前より住宅の外廻りに魅せられ独修。機能性を重視した独自のデザインを乞われ、エクステリアメーカーの門扉・フェンス等のデザイン開発に関わる。
大手ハウスメーカー モデル住宅のエクステリア設計を多数手掛け、個人住宅の庭・造園 エクステリア設計の第一人者との評を受ける。
1984年 エクステリア・造園 設計事務所 SUTADIO dim を設立。大阪国際花の博覧会(郷土デザイン部門)最優秀賞受賞。近年はエクステリア・造園を志す若手の教育に力をそそぐ。